宮崎仁先生インタビュー (3/4)

在宅医療や、血液疾患をもつ方との関わりについて

イ:
初期研修後は、母校の大学病院へ戻られて血液内科医になられたわけですが、大学病院を辞められて、宮崎医院を継がれたのはいつ頃だったのですか?
宮崎:
2002年の夏に父親が脳梗塞で急逝しました。わたしは40歳で、大学では講師という身分でしたが、父親の死に際して、「血液内科の仕事はもう十分にやった」、「次は家業である宮崎医院を継承して地域で働け」という天の声を感受したために、迷いなく開業医に転職いたしました。
イ:
在宅医療にも関わられたのはいつからですか?
宮崎:
初代院長の祖父、2代目院長の父は、患家から請われて不定期に出かける往診を長年やっておりました。。私が院長になってからは、訪問看護師と連携して、定期的な訪問診療を行うかたちの在宅医療をはじめました。

在宅医療の対象は、当院のかかりつけで、ご高齢になられて通院できなくなったかたですが、かかりつけ患者さん以外でも、地域の基幹病院から新たに在宅主治医になってほしいという依頼があれば応じています。元血液内科医ということから、病院からご紹介いただくケースは、在宅緩和ケアが必要ながん患者さんが多いです。

イ:
血液疾患の方を在宅でみることも多いですか?
宮崎:
血液疾患がメインである患者さんを病院からご紹介いただくことはまれです。むしろ、認知症や寝たきり状態の高齢者で、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、骨髄異形成症候群(MDS)、多発性骨髄腫といった血液疾患を併存されているかたの在宅主治医となる場合のほうが多いです。
イ:
血液疾患の方の看取りもされることがありますか?
宮崎:
血液疾患のかたの在宅での看取りを経験したことはあります。悪性リンパ腫や多発性骨髄腫の終末期の方々でした。
しかし、その数は多くありません。造血器腫瘍の在宅看取りは、その特性からむずかしい面も多いので、まだ病院で亡くなられる患者さんがほとんどではないでしょうか。
イ:
外来で血液の患者さんを診ている方もありますか?

宮崎:
現在、当院の外来で診ている血液疾患の患者さんは、まず大学病院時代からずっと主治医として関わってきた造血器腫瘍や再生不良性貧血が治癒した方々です。もう30年近いお付き合いのかたもありますし、そのなかには造血幹細胞移植後の長期フォローアップを続けているケースも含まれます。

次に、街場の血液内科医として、自院で診断して経過観察を続けている血液疾患の患者さんもあります。どんな血液疾患かと言うと、軽症ITP、軽症MDS、MGUS、本態性血小板血症などです。さらに、わたしが血液専門医の資格を持っていることをインターネットで調べられて受診される初診の患者さんも時々ございます。

どうやら検索エンジンに、「三河地区 血液内科」と入力すると、わたしの名前がヒットするようです。そのようなケースのほとんどは、すでによその血液内科で診断や治療が行われている造血器腫瘍や血液難病の方々であり、病状や治療方針に関して不安をお持ちのため、セカンドオピニオンのようなかたちで相談したいという依頼がほとんどです。

イ:
地域で相談できる先生がいらっしゃるととてもありがたいですよね!
宮崎:
でも、いきなり見ず知らずの造血幹細胞移植後のかたが外来に登場されて、皮膚の慢性GVHD(移植片対宿主病)を見せて、「これ、大丈夫でしょうか?」と尋ねられるわけですから、面食らうこともありますよ。
イ:
それは経過がわからないでいきなりだったら困りますよね!大変ですね。
宮崎:
造血器腫瘍や血液難病は、病態をわかりやすく説明することがむずかしいです。それで、病院の血液内科で説明された内容が理解できず、疑心暗鬼となって、当院へ相談に来られるわけなんです。そういう場合には、ある程度時間をかけて、丁寧に解説してさしあげると安心されてお帰りになります。その後も、採血結果が出るたびに、メールなどで報告してくださる患者さんもあり、適宜アドバイスしています。
イ:
なるほど、それも地域の血液内科医の仕事として大切ですよね。そのあたりの説明がしっかりできていないと、ネット上の変な治療を受けるようになってしまったりとか、迷走してしまう方もありますもんね。

その他、G-CSFを打ってほしい方とか、ありますか?

宮崎:
G-CSFの注射の依頼は時々あります。病院の血液内科から頼まれることもあるし、紹介状を持ち飛び込みで来られる場合もあります。当院は自動血球計測装置があるので、採血するとすぐに白血球数がわかるために、それを患者さんに示すこともあります。
イ:
白血球数とか、近くでチェックできると患者さんとしては安心ですよね。血液をご専門の先生がいらっしゃることは大きいですね。