翁 祖誠先生 インタビュー(3/3)地域でうまく共存すること、そしてCommunity Hematologistとしての抱負

地域でうまく共存すること、そしてCommunity Hematologistとしての抱負

――今後の抱負を教えていただけますか?

 在宅輸血については、実施するクリニックが増えています。しかし残念なことに、安全性や体制に問題があると正直感じています。どこかで事故が起こるのではないか、そしたら規制が厳しくなるのではないか、「在宅輸血はダメです」なんてこともがあるかもしれないと危惧しています。輸血や化学療法はそもそもリスクがあるので、より安全性を重視して広げていきたいと思っています。当院では在宅輸血を実施する際、患者宅にエピペンを必ず置いています。輸血投与中にエピペン投与の動画をみて練習を行っています。輸血のサポートしてくださる訪問看護師さんとも一緒に取り組んでおります。現在は副作用発生時のフローチャート制作に着手しているところです。

 在宅輸血を受けると、大概の方が「自宅で輸血ができるなんてすごい、助かる」と言ってくれます。しかし中には輸血で生かされていると感じることや、輸血に嫌悪感を抱くようになる患者さんがいることもわかってきました。輸血の止め時、アドバンスケアプランニングをしっかり考えていかなければならないと感じております。

 最近、血友病の患者さんが数名いらっしゃるようになりました。血友病は先天疾患ですから、小児期からかかっていた病院があっても、成人になると小児科を卒業し、移行がうまくいかない、なかなか一般の内科クリニックでは対応してもらえないなどの問題があるようです。当院のような血液クリニックですと、定期補充療法や採血などのフォローはできても、大出血を起こした場合には対応しきれないです。そこで基幹病院の血液内科に2次予防的な形で年1回通院してもらい、大出血の際には基幹病院で対応できるような体制を作ることが重要と考えています。

Community Hematologistとしてセカンドキャリア形成のお手伝いができたら

 講演会でお話しさせてもらうと、それぞれのエリアへ輸血に来てくれないかと相談を受けます。しかし、遠方などの理由から対応できないのが現実です。血液専門医のセカンドキャリアとしてやってみたいと考える方がいらっしゃいましたら、ノウハウとまではいかないですが、経験談などをお話することはできますし、できる限りお手伝いしたいと考えております。興味を持ちの方がいらっしゃいましたら、是非、当院へ見学に来ていただけたらと思っています。