プロジェクト

血液在宅ねっとでは、下記のようなプロジェクトを実施しています。

現在進行中のプロジェクト

「在宅輸血におけるACTIVE TRANSPORT REFRIGERATOR(ATR)の普及による、安全な血液製剤供給体制の確立に関する研究」

概要:在宅輸血では、血液製剤の温度管理が課題として挙げられています。まず血液供給センターから届いた血液を院内で保管する際の温度管理は血液専用冷蔵庫で、また患者宅への搬送の際も温度管理を徹底するように各種指針では定められています。ただ、これらの設備を整えることは、費用的にも診療所の負担は大きいものです。
そこで、血液在宅ねっとでは、持ち運び可能な輸血専用冷蔵庫(血液搬送装置、ATR)を無償で貸出することを行い、安全な在宅輸血へ一歩近づくことを目指しています。
開始時期:2021年4月~
(1回の貸出は6カ月間まで、台数に限りがあります。複数回利用の場合にはお断りすることがありますのでご了承ください。)

血液搬送装置、ATR
血液搬送装置、ATR


基幹病院向け説明文書(PDF)
診療所向け説明文書(PDF)


※この研究は、勇美記念財団より研究助成を受けました(2021/4月~2022/3月)。

「在宅輸血スタートセット」の提供

地域で在宅輸血を担うために、数多くの症例を経験した医療機関が常に対応できればよいのですが、患者様が住まれている地域でそのような医療機関がない場合には、輸血のハードルのためにご自宅に戻れない方々が大勢いらっしゃいます。そのような場合、血液内科の担当医療機関とも連携し、近隣の医療機関に交渉し、一定の条件を満たした中で、在宅輸血を含めた血液疾患患者への対応を依頼できる体制が必要と考えます。そこで、「在宅輸血スタートセット」として、上述のATR貸出とともに、在宅輸血に実際に必要なソフト・ハード両面でのリソースを共有・サポートしていきます。院内マニュアルのテンプレートの提示、輸血実施時の体制についてなど、個別にご相談しながら、地域の血液患者さんを支えるクリニックの挑戦をサポートします。


※この研究は、勇美記念財団より研究助成を受けました(2021/4月~2022/3月)

「在宅輸血における地域リソースマップ作成による、血液疾患患者の退院支援/地域連携の円滑化に関する研究」

血液疾患の地域連携/在宅移行を考える際、在宅輸血をはじめとした対応を各地域で担っていただけるクリニック、訪問看護ステーションなどのリソースに関する情報は乏しく、基幹病院の地域連携室の負担になっています。そこで、各地域でのリソース分布が一目でわかるようなマップを作成し、退院支援を円滑化することを行っていきます。血液在宅ねっと独自のアンケートでのリソース探索も行っていますが、日本赤十字社からの血液供給実績のデータも参考に、抜けのないマップの作成を目指します。

実施したプロジェクト

在宅輸血・動画作成プロジェクト

在宅輸血の手順、実施要領、その様子をビジュアルにわかりやすく示すために、動画を作成してホームページ上で公開しました。今後もより詳細な手順について、動画作成を検討しています。
「在宅輸血・動画作成プロジェクト」の内容はこちらからご覧になれます

血液疾患患者の在宅医療に対するニーズに関するアンケート調査の実施

血液疾患患者が在宅医療に対してどのようなことを望んでいるかについて、過去に調査されたものは少なく、関係患者会のご協力のもと、アンケート調査を実施しました。結果については下記論文としてまとめることができました。


“血液疾患患者を対象とした在宅医療へのニーズに関するアンケート調査”,大橋 晃太, 安達 昌子, 細田 亮 他, 癌と化学療法 46巻Suppl.I p.157-160(2019.05)


※この研究は、勇美記念財団より研究助成を頂きました(2016年4月~)

血液専門医が在籍する医療機関のマップ作成

日本血液学会のホームページで公開されている、血液専門医名簿から情報を抽出し、マップ上にプロットしたものを作成しました(国立がん研究センター東病院血液腫瘍科医局にご協力を頂きました)。

今後実施を計画するプロジェクト

  • 海外での在宅輸血をはじめとした血液疾患の在宅医療の実施状況に関する調査研究
  • 血液疾患の在宅医療を経験された方への満足度調査(家族・遺族の方々も含む)
  • 救急医療側の在宅輸血の普及に関する意識調査
  • 各疾患毎の在宅療養でのポイントを示した事例集や動画の公開