赤坂先生・西川先生(赤坂クリニック)血液疾患の在宅医療を支える熱意(4/4)

血液疾患の在宅医療への思い

大橋:
今までお話を伺っていて、赤坂クリニックが熱意で支えられていることを強く感じます。ここまでの熱い使命感はどこから由来するものなのでしょうか?
赤坂:
元々血液の患者さん・血液の診療が好きということと、また造血幹細胞移植が好きで、バンクの仕事をずっとしてきました。そして、血液の患者さんをお家に帰してあげたいという気持ちもずっと持ち続けていました。その経験を活かして、自分の好きだった血液の在宅をやりたい。それが今実現できているので、とても満足しています。
大橋:
私は移植の経験が赤坂先生のようにあるわけではありませんが、若い造血幹細胞移植の患者さんで再発を繰り返して、もう手立てがなくて、最期に少しでも家に帰してあげたかった、それだけでも実現してあげたかったと感じる経験が何度もありました。どんな状態でも患者さんが望むのであれば、家に帰してあげたいという目標を持ってやっています。
ただ、まさにそういった患者さんを担当する機会があって、最期までご自宅で看取ることができ御家族もとてもよかったと仰っていただきましたが、正直、ほとんど寝られないような日々が続いて、1人で診ることの限界というのも感じる時もありました。
赤坂:
血液患者さんは助けることができるのだったら、できる限りのことをしてあげたいと思うのは当然のことで、同じ思いでやってくれる仲間が必要ですね。
大橋:
若い先生方が、赤坂先生のような姿をみて、こんな生き方もあるんだなと感銘を受けるのではと思います。キャリアパスとして、Community Hematologistが、生き生きと活躍されている姿を示せるのは、とても大きなことだと思います。
赤坂:
学会で発表したりとか、輸血療法委員会でお話したりとか、できるだけ発信していくように心がけています。やり方さえ工夫すれば、血液内科のクリニックは、地域で十分やっていけるし安定して経営することもできるとお話していきたいです。

今後の展開

大橋:
今後の展望としては、どのようなことをお考えですか?
赤坂:
自分と同じ考え方を持つ若い先生方が増えればと思っています。全ての都道府県に血液内科の訪問診療クリニックがあって、自宅で普通に輸血ができ、血液の患者さんが最期の大切な時間を家族と過ごすことができればと考えます。
西川:
安全に在宅で輸血ができるように、遠隔での輸血前後の状態確認や、病診連携など、診療の環境をととのえていくことも大事で、そういった研究にも取り組んでいます。
和歌山県では非専門医の先生に在宅輸血に関わってもらえるように、クリニックを基幹病院がサポートしていく活動をしています。カルテや採血データを共有できるシステムを構築しているので、たとえば隔週で病院と在宅で交互に輸血をするなど、連携して患者さんのQOLが向上するように連携しています。