塚本 裕之先生 インタビュー(2/2)血液内科医としての知識・経験を在宅医療で活かす

患者さんにとって、在宅医療はメリットが大きいと実感

――2021年4月にホームアレークリニックに入職された塚本先生。現在は何名程の患者さんを診ているのですか?

現在は50名程を受け持っています。血液疾患の患者さんは5名程なので、まだまだ割合は高くありません。ただ私の入職をきっかけに、クリニックとしても在宅輸血を行えるようになり、少しずつ在宅輸血を希望する患者さんの紹介も増えてきています。

――在宅医療のやりがいやはどういった点に感じていますか?

当初、患者さんに感謝されることがとても多いことに驚きました。患者さんにとってご自宅で診てもらえることは、やはり非常に大きなメリットがあるのだと痛感しています。病院とは違い、ストレスや不安もかなり軽減されるのだと思います。在宅医療を通して、患者さんに安心感を届けられるのは、やりがいがありますね。他にも、ヘルパーさんやケアマネジャーさん、看護師さんなど、さまざまな関係者の力があってこそですが、患者さんやご家族が満足できる形でご自宅でのお看取りができた時にも、やりがいを感じています。

在宅医療は外来診療に比べて、治療の効果や副作用のチェックがこまめにできます。外来だと2週間後、場合によっては1カ月後に受診してもらうことが多いですが、在宅医療なら1週間後や時にはもっと短期間に確認することが可能です。その結果によって細やかに調整できるのも魅力の1つではないでしょうか。

もちろん病院に比べると、使える医療資源やマンパワ―が限られているのは事実です。しかしその限られた中で、どのように資源や人を活用し治療していくかを考えることも非常に面白いことだと思います。

血液内科医としての知識・経験を在宅医療で活かす

――今後の抱負を教えてください。

入職してまだ半年なので、まずは慢性疾患や癌末期、神経難病、血液疾患など色々な患者さんを診させていただく中で知識や経験を高めていき、それを患者さんへ還元できるようにしていきたいです。

また、病状が安定しているけれども輸血が必要な患者さんは、長期にわたって輸血が必要になることもあります。そういった患者さんが高齢になり通院困難になった場合、在宅医療へスムーズに移行できれば、その方にとって大きなメリットがあると思います。ですから入職させていただき、Community Hematologistとして在宅医療に挑戦できているので、在宅輸血を希望する患者さんは積極的に受け入れていきたいと考えています。そして血液内科医としての知識や経験を活かし、今後は疾患にかかわらず、可能な限り断らず最期まで診ていきたいと思っています。

あとは、患者さんにとってメリットが大きい在宅医療ですが、まだまだ知らない患者さんも大勢います。ですから、少しでも多くの方に知ってもらい届けていけるようにしていきたいですね。

(インタビュー・文:北森 悦)